ぐり茶

 「ぐり茶」という名前のお茶を聞いたことはありますか?
 以前、九州出身の友人が「子供の頃おばあちゃんの家に遊びに行くと、摘みたてのお茶の葉をお鍋で煎ってそれでお茶を淹れてくれて、とても美味しかった」と話してくれたことがありました。
 このように九州など西日本では、中国の影響を受け古くから鉄鍋で茶葉を炒って自家用のお茶を作っていたそうです。
 現在流通している日本茶は、ほとんどが「蒸し」の工程を経てあの美しい緑色を保っていますが(これを「殺青さっせい」と言い、茶葉の酸化を止めるために行われます)、この「ぐり茶」は蒸す代わりに鍋で「炒る」ことで殺青を行います。
 「炒る」ので、蒸した茶葉にはない香ばしい「釜香」が感じられますし、茶葉自体の形も炒ったそのままの形、つまりぐりぐりと捻れた勾玉の様な形になるために「ぐり茶」と呼ばれるようになったようです。
 今回のぐり茶は下北沢の「しもきた茶苑大山」のもので、宮崎県産です。雑誌などでも頻繁に紹介されている有名なお店ですね。二階には喫茶室もありますが、平日訪れるとたまたま定休日だったり、土日に行くと整理券が配られているくらいの行列が出来ていて、なかなか機会にめぐまれません。いつか必ずと思っています^_^
 茶葉と水色が若干黄色く見えるのは、やはり炒っているからです。茶葉の形も針のような見慣れたものではなく、不揃いによじれていてそれも素朴で魅力的です。渋みも少なくさっぱりしているのが特徴なので熱め(90℃〜)のお湯でさっと淹れてみてください。釜香も生きてきます。

日本茶教室 松濤

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